IE40PROのコスパに惚れて買ってしまうまでの話

先日、SENNHEISER の「IE40PRO」を購入した。カラーはブラックにした。値段は12,636円であった。

SENNHEISER製品は今まで、HD598、HD650を使用してきた*1SENNHEISER製品を購入するのは、IE40PROで3つ目となる。

www.e-earphone.jp

SENNHEISER(ゼンハイザー)とは、1945年にドイツで設立された音響機器メーカーである。イヤホンヘッドホンはもちろん、映像制作やレコーディングで使われるマイクなどもリリースしている。ピンと来ない方は、テレビ番組などの取材クルーを想像してみて欲しい。その中に、細長いモコモコしたマイクが付いた長い棒を持っている人がいると思う。その人が使うようなマイクで代表的なモデルが、SENNHEISERのMKH416だと言われている。そのくらい、いわゆるプロ用機器では有名なメーカーである。

同様に、我々が手にするイヤホンヘッドホンの業界でも有名である。HD25、HD650、HD800、IE800など、名機と呼ばれる機種を多数生み出した。これらの機種は、イヤホンヘッドホンの業界に馴染みの無い人にはよく分からないと思う。簡単に説明すると、これらは、いわゆる「イヤホンヘッドホンのオタクなら知らない者はいないだろう」という機種たちである。

f:id:nmzfish:20190801152628j:plain

SENNHEISER IE40PRO BLACK

本題のIE40PROは、発売発表時から「SENNHEISERのモニターイヤホン*2」ということで注目されていたように思う。しかも安い。

私は以前、IE80、IE800を視聴したことがある。その時、正直、好きではない音だと感じた。つまり、その時から私はSENNHEISERのイヤホンに対して*3あまりいいイメージを持っていない*4。発売発表時からIE40PROの値段は魅力的であったため、とりあえず買ってみるというのも出来そうだった。しかし、そのイメージが大きく、興味は湧かなかった。また、SONYの「MDR-EX800ST」を以前から使用していることもある。こちらもダイナミック1基のモニター用ということで、用途が完全に被っている。

それが確か今から半年くらい前のことである。SENNHEISERのイヤホンに対してはあまりいいイメージを持っていなかったが、私は聴いてもいないイヤホンを叩くようなオタクではない。ちょうどイヤホン専門店へ寄る機会があったのでIE40PROを試聴してみた。

 

まずは「WHITE ALBUM2 Original Soundtrack ~setsuna~」より「夢想歌

再生機器はDP-X1、フォーマットはflac 24bit/96kHzである。

www.e-onkyo.com

私がこれから聴くのは、まず、大好きな曲であるということ。大好きな曲が気持ちよく聴けるかどうかは重要である。それと、小木曽雪菜の透き通るようなヴァーカルがきちんと表現されているか、打ち込みがブーミーではないかがすぐに分かること。アニソンばかり聴くので、この2つは私が重視するポイントである。

いざ試聴。歌いだしのヴァーカルは後ろに何もなく、素晴らしい透明感。ハモリまで透き通って見通しがいい。そして流れるイントロ。低域は適度に重量感があり、中高域は明瞭。分離感も良好で、乱雑な印象が無い。低域の打ち込みが、ヴォーカルに被ることもない。流石モニターイヤホンといったところ。高域の主張が少々キツいと感じたが、よくよく聴いてみると全帯域に渡ってフラットなだけである。長らく使用しているEX800STが、低域寄りで少々高域が埋もれがちだったことを考えれば、EX800STで埋もれていた部分が聴こえただけであった。

 

次に「LoSe±CoNtRoL」。再生機器は同じくDP-X1、フォーマットもflac 24bit/96kHzである。

www.e-onkyo.com

この曲で定位、音場、分離感をチェックする。LoSe±CoNtRoLは音数が多く、空間を最大限に生かした音作りがしてある。そのため、先にあげた3つの要素が分かりやすい。好きな曲ということもあるが、チェック用という意味も大きい。

聴いてみると、広い音場に加え、分離感が素晴らしい。定位もよく、それぞれの音がどこで鳴っているのか明確に分かる。LoSe±CoNtRoLをしっかりと表現できている。IE80、IE800は少々低域が出すぎな印象を受けたが、IE40PROは控えめで私にはちょうどいい。

 

その時は、ただ試聴しに来たので金を持ってきていなかったことに加え、勢いで買うのはよくないと感じたので見送った。

 

その半年後、カスタムIEMをオーダーするために、イヤホン専門店へ寄る機会ができた。空き時間ができたので、IE40PROの試聴、2回目。これでいいイヤホンだと感じたら買おうと思っていた。前回の試聴のイメージが間違っている可能性もある。その時ハマっていたこともあり、一発目でアイカツステップを聴いてみた。特に何も考えることなく、アイカツステップを選択した。

 すると、皆がいた。

f:id:nmzfish:20190804215647j:plain

アイカツスターズ 」、100話より

イントロのコンプ感が気持ちいい。低域はブーミーでなく、密度感がある重量でドッシリと。高域はキラキラと表現しつつも、不快な刺さりがない。全帯域に渡って明瞭である。そして始まる

1・2・3 de アイカツ!

なんてったって 約一万

となりのレジへ 一直線

であった。アイカツステップがここまで気持ちよく鳴るのか、と....。もうね、惚れた。この音が13,000円って....。買ってしばらくしたが、大満足である。現在も使用率は高め。

 

 

参考までに、私が試聴で聴く楽曲を紹介する。

まずは「WHITE ALBUM2 VOCAL COLLECTION」の「Free and Dream」である。アルバム全体を通してヴォーカルの質感に優れている。その中でも、Free and Dreamに関しては、特にヴォーカルの定位がいい。上原れなと津田朱里の二人の声が非常に心地いい。ヴォーカルチェック用音源。

www.e-onkyo.com

次は「Pure AQUAPLUS LEGEND OF ACOUSTICS」の「夢想歌」である。イヤホン専門店は基本静かな環境ではないので、イヤホンの試聴ではあまり聴かない。だが、ヘッドホンの試聴では必ず聴く。楽器の数が少ないのと、それらの楽器がうまく帯域が分かれている。そのため、全体的なバランスや解像感が分かりやすい。ヴォーカルのチェックもできる。ヘッドホンやDAC、アンプの試聴ではこれだけをじっくり聴くこともある。
www.e-onkyo.com

 

さいごに

IE40PROは、約13,000円という価格*5でありながら、非常に優れたパフォーマンスをする。付属イヤホンをやめて、少しいいイヤホンで音楽を聴いてみたい、という人にはもちろんだが、イヤホンオタクにもオススメできる。

*1:HD598は1年くらいで手放した。HD650は現在も使用中

*2:楽曲制作時などにチェックするためのイヤホン

*3:IE80とIE800はSENNHEISERの代表的なイヤホンであるため

*4:私の趣味とは合わないなという意味

*5:付属イヤホン卒業で買う価格帯なイメージ